「自動車、人工知能、農業、そしてデータの未来をエンジニアと語る会 」に行ってきた

 

バレンタインの熱冷めやらぬ2017年2月16日、友人が登壇する&面白そうということで勉強会に行ってきましたので、レポートを残しておきます。
18:00から21:00なで約3時間(懇親会も入れると4時間)と長丁場とも思えましたが、そんなことはない、あっという間の3時間でした。

どんな勉強会だったの?

自動車、人工知能、農業、そしてデータの未来をエンジニアと語る会
http://eventregist.com/e/gjZd879sJrEl
詳細はリンクを追ってもらえれば良いと思いますが、参加した者の所感としては、
* データを活用している会社の事例紹介、中の人達が今抱えている悩みや今後の展望の紹介
* 開催者側の採用を兼ねている
でした。参加者は、4割がエンジニアという構成だったようです。
エンジニア・データサイエンティスト向けイベントといっても技術的な話ではなく、キャリアやその人達(※1)を取り巻く環境についてについての話が中心だったと思います。
会場は、六本木ヒルズに入っているGoogleでした。自分にとっては、本やネットの中でしか存在していない遠い存在でしたが、実際に場所に赴くと少しだけ距離が近づいた用に感じます。
小学生みたいな感想で恐縮ですが、登壇者側からみて上部にディスプレイがあったり、無線LANがあったり(今時どこでもあるか)、壁に日本画やドロイドくんが書いてあったりと、色々とすげーという感じでした。
※1 他人事の用に書いていますが自分もエンジニアという

勉強会の内容

ビジネスドメインや職種も異なるスピーカーが何名も話しをし、なんとなく収集がつかなくなっていた気もしますが、大きく分けると3つに分類できると思いました。

技術的な話

Googleの鈴木さんから、「Googleがめざす、誰もが使える機械学習」という題目でGoogleが提供する機械学習の技術とその背景にある考え方を説明してもらいました。鈴木さんは、Googleの機械学習(?)のエバンジェリストという肩書で仕事をしているようです。
Googleが提供している技術は、大きく分けて3つのサービスに分類できます。

機械学習API

誰でも(今は開発者中心に)機械学習できるよう画像認識であるCloud Vision APIや、言語処理系のColug Speech APIを提供している。

TensorFlow

機械学習APIは比較的一般的なモノの分類や認知機能を提供している。
ビジネスユースでは、農作物の仕分けや、医療写真からの病変箇所の検知など、特定用途での認識が必要になってくるが、APIだけでは対応できないものが多い。
そこで、自前で学習のモデルを記述できるフレームワーク(TensorFlow)の出番というわけ。

Cloud Machine Learning

機械学習を行うには、マシンパワーやスパコン並のネットワークレイテンシーが必要になってくるケースが多々ある。
自前のオンプレでやると電気代が馬鹿にならないという企業もあるようだ。
計算パワー(GPUや、TPU)があり、レイテンシー改善もされているインフラを、1つのコンピューターに見立て、提供しているサービス。

 その他

コミュニティ活動として、TensorFlow User Groupがある
Googleでは60以上のサービスで機械学習の成果を応用。
  • Google検索(RankBrain)
  • Googleフォトの画像検索
  • Gmailのスマートリプライ(英語のみ提供、モバイルアプリからの返信率10%)
  • Google翻訳
  • データセンターの冷却コスト40%改善 / 電力効率の15%改善

ビジネス的な話

東日本の横綱AIベンチャープリファードを目標に、西の代表を目指しているエクサインテリジェンスの粟生さん、楽天の北川さん、カンボジアで農業支援を行っているAGRIBUDDYの北浦さん、drive modeの上田さん/joaoさんから話を聞きました。
ビジネス的な観点でいえば、北川さんと北浦さんの話がおもしろかったですね。
「BigDataは本質的な価値を見出す」といった話や「売れる理論 long tail vs ブロックバスター戦略」の話、特にスマートフォンではブロックバスター状態(売れるものがより売れる状態)になっているといる話は興味深い話でした。
仮設として、スマホでは文字をたくさん打ちたがらず、予測変換やレコメンド、音声検索などによって、クエリそのものや組み合わせがシンプルになってきている、という説明も新たな気付きでした。
北浦さんは、カンボジアで事業をしているのですが、文化や教育の違いからくるビジネス環境
キャッチーな言葉で説明されていましたが、いくつかピックアップするとこんな感じです。結構衝撃的な内容が多かったです。
  • 農民のITリテラシーがヤバイ
    • 1つの村で1つのGoogleアカウントを使っている
  • サイエンスの教育レベルが低い(分数できない大学生もいるとか)
  • お金がなく、プリペイドでROMを購入することもあり、無料アプリもほぼ有料アプリと同じ心境、なかなかDLされない
  • センサーを置くと盗まれるから、人工衛星で農場を監視するようにしている
  • 海外でやっていくのに一番大事なのは、技術でも言語力でもガッツでもなくて、お腹を壊さないこと

マインドの話(キャリアや起業の話)

技術の話や、ビジネスの話は登壇者の発表をまとめる形になりましたが、マインド部分は自分自身で感じた点も多々あったので、自分自身の考えてとしてまとめておきます。

働き方・テクノロジーとの関わり方は大きく変わっていく

いわれなくても冷静になって、一歩引いてみればそうですよね。自分たちが子供時代と今を比べたら、ハードやソフト、サービスの充実度は大きく違いますね。今の10歳以下の子供が大人になったとき、一体どんな働き方になるのか?それをサポートするテクノロジーはどういった形になるのか、考えてみるとワクワクします。

ただボク個人としては、よく言われるような学校で学ぶことや、何かしらのコミュニティで仕事をする、ということは変わらないけれど、、データ収集の精度や規模の増大、機械学習の成果の充実(音声認識・物体認識・分類・因果関係、相関関係の分析、など)により得られた恩恵は誰でも使える技術になる、という話には懐疑的です。

機械学習は、Microsoft Officeや英語のような誰でも使えるツールになる、といいますが果たしてそうでしょうか。誰でも使えたほうが良いツールという意見であれば賛成ですが、実際理系の教育を受けている学生、テクノロジー系の企業に属している若手社員がPCを満足に使えないことや、英語教員がろくに 英語を使えない現状を踏まえると、誰でも、というのは関係者のポジショントークであると考えています。

教育システムが変わったり、技術的な大きなブレークスルーがない限りは、せいぜい一部のエリート階層にある人たちが使うツール程度ではないのでしょうか。

キャリア

楽天の北川さんが、「面白い = 関係があって、新しい発見である」・「面白さと発見は反比例する構造である」・「構造があるものは、それを壊すことができる」といくつか示唆にとんだ話をしていました。

キャリアに当てはめると、データの蓄積・構造の発見が一歩目、そしてそれの破壊が空を破ることなのかなと今時分が置かれている立場を踏まえ思うところがありました。

 

なお、構造をぶち壊すためには4つのツール(濱口秀司さん・北川さんの合体アイディア)を使うそうです。
  • デザイン(UI/UX)
  • ストーリー(Context)
  • 発掘テクノロジー(Algrithm)
  • 知識データ(Knowledge Data)

エンジニアの未来

未来を見通すことは難しいですが、現状と近未来くらいを考えてみると

  • データサイエンスの発展、データ構造化の発展により、機械学習の叡智はAPI化・アーキテクチャからされるはずなので、その使い方を学ぶ必要がある
  • サイエンスでは、何をやっても(レコメンド、分類etc)90〜92%の精度が一般的に限界。しかし、ビジネスに転用するため99%の精度が求められる。エンジニアはオペレーションツールのデザインをし、オペレータをエンパワーする存在である
  • エンジニアが思い描くユースケースやユーザーの世界は、とりわけグローバル・ビジネスにおいてはえらくサービス提供側と乖離している
  • 日本やイスラエルなど、少し人件費を安くしたチームを海外に置き、アメリカに本社をおく会社携帯も増えている
  • 車とモバイル領域は日本人に強みがある(組み込みエンジニアとかも多いしね)
  • 英語は弱い
  • データサイエンティストのクオリティは、海外のほうが高い(海外では英語ネイティブ + コンピュータサイエンス + α(データサイエンス、セキュリティサイエンティストetc)が当たり前)

ベンチャー企業の存在価値、ビジネスの攻めどころ

既存の慣習が残りブラックボックスされた部分を、クリアにしてあげたり、ハイエンドの新商品しか恩恵が受けれないような状態に対して、安価に同等の価値を提供したり、そういったことは大手企業ではリスクをとれず行うことが苦手と言われています。

こういったところに風穴を開けるのがスタートアップの存在意義なのかなと感じました。

 

雑記

最後になんとなくですが、エンジニアとサイエンティストは、似ているけどなんとなく違うなぁと感じました(ドラクエでいうと戦士と武道家みたいな感じ)。真面目には、エンジニアはHowを考える力が強く何かを生み出すことにコミットする、サイエンティストはWhyを考える力が強く、法則因果関係を見出すことにコミットしているのでは、と考えています。
あと、プレゼン資料のファイル名に日付を入れておく方がいらして、なるほど、後から検索に引っかかって良いなぁ〜となんとなく考えていました。
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