約3年間後輩を育成してきて思ったメンバーを育成するということについて

 

卒業式や組織変更の時期ですね。

4月からは新社会人といった方も多数いらっしゃると思います。逆にすでに働いている方は、新たなメンバーを受け入れていくことになるかと思います。そして一部の方は、新卒であったり、異動したメンバの育成といった仕事に取り組むことがあるのではないでしょうか。

私自身は、現在ベンチャー企業に勤務しており、直属の後輩もいなければ、自分自身のスキルも先輩に比べて圧倒的に劣っている自覚があり、育成云々よりもさっさと自分が戦力として独り立ちできることを目標にしています。が、直属の後輩はいなくとも新卒や第二新卒のような形で入社する超若手のメンバも多く、「育成」といった言葉も社内でちらほら聞くようになってきました。

そういった言葉を聞くたびに、前職で何人かの育成にも関わってきて、良かったこと・失敗したこと・もっとこうしたら良かったとなどを思いすようになりました。人材育成に対して、自分が思っていることをこの機会にまとめらようと思います。

前提

  • 1 on 1 で育成をする時を対象にします
  • 1 対 多(研修など)は、多少関係あるかもしれませんが、直接的には言及しません

要点

自分が全てできている(できていた)わけではないですが、考えている要点をあげます。順に説明していきます。

  • 基本スタンス
    • 成長にコミットして、投げ出さない
    • 一人前の人間として接する(対等なメンバーとして接する)
    • 自分自身が良い見本となる
  • 日々の指導
    • 相手の目標を立て、合意する
    • 成長機会を用意する
    • フィードバックをする
  • 注意の仕方
    • 注意は2人きりで
    • 行き当たりばったりにならない
    • 何度でも同じ注意をする

メンバーの育成に必要な行為

基本スタンス

育成に関する基本スタンス編です。

成長にコミットして、投げ出さない

育成、という行為はすぐに効果がでるものではありません。数ヶ月・数年・下手をすると数十年スパンで考えねばならない行為です。育成する側はつい焦ってしまいがちですが、まず息の長い活動であることを自覚します。

息の長い活動であるがゆえに、最初こそ意気込んで壮大な育成計画やヒアリングなどをする場合をする人もいますが、それよりも継続的に相手をフォローする、たとえ思ったように成長しなくとも(というかそれが普通だと個人的には思います)投げ出さないという強い意志が必要だと考えます。

一人前の人間として接する(対応なメンバーとして接する)

個人的には、年の近い先輩社員にみられた傾向なのですが、ついつい後輩ができると雑用や自分の持っているつまらない仕事をまわすだけの方もいらっしゃいます。

また、「どうせ新人だから」や「畑違いの人にはわからないよね」といった、メンバーを軽視する発言をされる方もいます。

前者でいえば、本当に育成(メンバーの成長)に必要たるといった考えが持てないのであれば極力そういった仕事を回すことはせずにすべきでしょうし、後者のようなメンバーを1人の人間として軽視するような発言は論外です。

後輩(育成対象者)は、あなたの雑用をする代替ではないのです。

自分自身が良い見本となるよう努力する

育成対象者に、「勉強しろ」・「会議では必ず意見せよ」・「遅刻するな」といった言葉をかけるのであれば、最低自分自身がそれを実践している必要があると思います。

ただ、教育する側が、全ての項目で育成対象者を上回っていなければいけない、ということはありません。良いプレーヤーと良いコーチは違うという格言もあります。そういった場合は、僕は◯◯という分野は苦手であったり、君よりできないかもしれないけれど、と一言そえます。見えを張って出来もしないことをさも知っているように話すアタナを後輩は見透かしています。謙虚にあることが大切だと思っています。

日々の指導

相手の目標を立て、合意する

どうしても指導や教育というと、苦手なことの克服や、失敗したとき反省を思いがちですが、それよりも強みにフォーカスして、どういった点で育成対象者が組織やチームに貢献できるか、といったことを考えるのが育成者の仕事になると思います。

長期的な視野にたって、必要だと思うスキル・ポジションをつたえつつ、本人の意向を聞き出し、すりあわせていきます。長期的な目標をブレイクダウンして、短期的な目標を、育成対象者と一緒になって考えます。

言うは易く行うは難しではありませんが、将来の展望・ヒアリング能力・計画力など、非常に多岐にわたるスキルが求められます。

成長機会を用意する

計画は立てました、あとは頑張って!では育成対象者の成長スピードはゆるやかなものになってしまうでしょう。プレゼン力を伸ばすのであれば発表機械を、実装や設計力を鍛えるのであればプロジェクトメンバにしたり、研修を用意したり。機会を用意することもしなければなりません。

場合によっては、自分の上司を説得し仕事をとってきたり、研修の予算をとってきたり、こちらも簡単ではない行為です。

「育成対象者が◯◯をしたい・やりたい」と言ってこない、積極性が足りない、といった愚痴を言う方がいますが、基本的な考え方としては、たしかに育成対象者の立場であれば、それは果たさなければ行けない責任ではあるものの、育成側としては、それを言うように仕向けられていない、といった点を反省するべきと考えます。

フィードバックをする

何かしら育成対象者が行った行為に対しては、フィードバックをします。有りがちなのは、ダメ出しだけといったこと。そうではなく、良かった点・悪かった点の両方を伝えます。

良かった点は、結果が出なくともプロセスで頑張っていたら褒めてあげる、ということでも大丈夫です。むしろ、結果よりもプロセスを褒める(肯定する)といったほうが、こと育成という観点では望ましい結果を出せるといった研究結果もあります。

参考図書:原著 Mindset 邦題『「やればできる!」の研究』

注意の仕方

注意(あるいみ否定的なフィードバック)も、日々の指導の1つではありますが、非常に重要な項目なので別立てし論じます。

 注意は2人きりで

注意は2人きりのときに行います。特に、怒りを伴うような場合は特にです。褒めるときはみんなの前で行うことで、自己肯定感を高め、注意するときは2人きりで行うことで、安心感を高められると考えてます。

感情的になる前に、一歩落ち着きましょう。普段から、そのように考えておかないといけないので、机の上にでも「注意は2人きりで」とでも付箋に書いて貼っておきましょう。

行き当たりばったりにならない

注意、の行為にも関連しますが、何か物事が起きたときにだけ注意や指導を行うのは、こんな時だけ先輩・上司ヅラするなよ、といった望ましく感情を持たれる可能性があります。目標や計画にもとづいて、日々のフィードバックやアドバイス、時には見守るといったことを我慢強くしていく必要があります。

何度でも同じ注意をする

「一度いったでしょ」…確かに気持ちはわかります。が、一度言った程度で修正されるような癖・思考・行動であれば、おそらく既に治っているはず(表にでないはず)なのです。育成対象者の立場からすれば、できるようになるまで同じことを何度も伝える、一種の覚悟のようなものが必要です。

(育成対象者の立場としては、一度言われたら何度も同じことを言われない努力をすることは言うまでもありませんが)

最後に

いくつか自分の考えているポイントをお話しましたが、育成という行為は愚直でスポットライトの当たりにくい場所だと思っています。それでも、メンバーが変わる瞬間に立ち会えた時、感謝の言葉をもらった時、など救われることがあります。それで良いのだと思います。

教育、というと誰もが少なくとも義務教育は経ているわけで、だれでも一家言もてる分野ではありますが、コーチングや教育学といった分野があり、仕事として成立している、といったことからも、体系的に学び、実践できる人とそうでない人で、育成対象者のキャリアが大きく変わってくる可能性もありえます。

そういった責任ある仕事だと意識し、取り組んでいくことが必要だと思います。(たくさん考えることがあるので本当に大変だとは思いますが…)

そして、メンバーが成長したときは、自分でなく、確実にメンバー自身の努力・才能の賜物です。恩着せがましいことは言わないように笑

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